Sonny Boy サニーボーイ 全話見終えての感想【初見時】

まず初めにこの作品は2回通して観ました。

今回書く内容は記憶が曖昧な所もありますが基本的には初見時に感じた事です

長くはなりそうですが物語に沿って書いて行こうかと思います。

※能力や設定の考察も極力省きます。

 

いざ書くとなると何から書こうか迷いますね

とは言えこれが書きたくて始めたようなものなので好きに書いていきます。

 

最初にこの作品を知ったのはたまたま見かけた夏アニメ一覧のようなもので見かけて

雰囲気からなんとなく面白そうだなぁなんて思った事を覚えてます。

 

ここ最近はアニメを見る機会もめっきり減って、作品の存在自体を忘れていたのですがYouTubeで少年少女のMVを見かけてこの作品の事を思い出したんです

MVから伝わる雰囲気はそれはそれは爽やかな青春モノ

個人的にジャンルとして青春モノって大好きなんですけど、大人でも楽しめる

青春モノって少ない気がするんですね(ただの先入観かもしれませんが)

ただこの作品はまずキャラクターデザインから割とリアル志向と言うか

アニメアニメしてない感じが自分好みでかなり期待して見始めた事を覚えてます。

 

いざ見始めると期待以上でした

各々に与えられた謎の能力、漂流と言う非日常に置かれながら悲壮感の無い生徒達

シリアスなサバイバル物でも無い、かと言って真っ直ぐな青春物でも無い

一話からして謎だらけで先が読めない雰囲気、そして何よりキャラクターの魅力も抜群でしたね、個人的にはかなり引き込まれる内容であっという間に夢中になっていました。

 

序盤は見ている側としても謎が多く状況が掴めない事も多いのですが、雰囲気が明るい事もあってか割とのんびり見れるんですよね

ここらへんは漂流していた生徒達も同じような感覚だったのかもしれません

 

とは言え当然物語は動きます

物語が進むにつれて長良の能力が判明していきます

それにより漂流の原因は長良とされ、一部の生徒たちの怒りは長良へと向きます

そしてアキ先生の登場によって完全に派閥が分かれました。

 

そして6話のディレクターズカット作戦

物語の大きな分岐点ですね

この作戦により元の世界に戻った長良達は自分たちが可能性の一つであるコピーでしか無かった事を知ります

そして元の世界の希は既に死んでしまっていました

今思えば伏線はあったのですが、よりによって死とは真逆の明るいイメージの希がですからこの展開は全く予想していませんでした

この二つの事実によりざっくりと頭に浮かんでいたハッピーエンドからは大きく逸れるような展開でいよいよ予想が付かなくなっていきます。

 

この辺りからは謎が増えるばかりで理解が追い付かない場面も多く

手探りのような状態で集中できなかった記憶があります

ちなみに私は配信での視聴だったのですがリアルタイムだったら他の方の

考察等を交えて楽しめたのかなと少し後悔しています。

 

終盤にかけては更に難しくなっていきますね

正直中盤~終盤は個人的には少しダレてしまいました

分からない事だらけで物語が進んで行く事もそうですが

雰囲気が寂しくなっていくんですよね

クラスメイト達との別れ、やまびことこだまのエピソード

良心であり頼れる存在のラジダニも旅立ってしまいました

ネガティブな別ればかりでは無いのですがやはり寂しくは感じました。

 

そして何より希の前向きさに陰りが見えていた事も大きいかなと思います

元の世界に戻ると言う希望の先に自分は生きていなかった

これで落ち込むなと言う方が無理があります

私にはそれまでの希はいつでも前向きで、見ているだけで元気を貰える

言うなれば希望の象徴のように見えていたので

そんな希のような女の子が落ち込んでいるところを見るのは辛かったですね。

 

ただそんな希とは対照的に長良が成長していた事が救いでした

終盤の長良は頼もしいと言うか、今の長良ならハッピーエンドへ導ける

そう思えるくらいの成長が長良には見えました

そんな長良の成長もあり希も明るさを取り戻せた

希に救われた長良が今度は希を救った

「あぁ、良かった、物語は良い方向に向かっている」

そう思った矢先の10話からの11話、一筋縄では行きませんね。

 

正直初見時は11話冒頭は意味がわかりませんでした

「え、希死んだの?」が初見時の感想です

今でこそ自分なりの見解はありますが、当時は朝風の能力で戦争(と思われる存在)に

何をしたのかがよくわからず、当然朝風が希に何をしたかもわかりませんでした

朝風の能力(重力操作)で死を与える事が出来るとは思えない、かと言ってこの世界で落下のような物理的な要因で死亡するとは到底思えなかったので

死=能力遺物化と捉えても何がなんだかと言った感じでした。

 

ただあまり悲壮感は無く、これは布石できっと能力遺物から元の希に戻す方法があるのだろうと考えていました

葬式での長良も悲壮感があるようにも見えなかったので、きっと何か方法があるはずと同じように希の死を受け容れられていなかったように思います。

 

ただそんな楽観的な考えもラジダニによって現実を突き付けられます

ラジダニの口から語られるこの世界での死の概念

この時語られる死の発明家なのですがその描写から当時はラジダニが明星がそうなってしまったのかと思いました

※この件については後の座談会で監督から語られています

彼は説得力が凄いんですよね、そんな彼が2000年の時を経て導き出した答えですからね

彼が死について話をしている、それだけでもう察します

 

「希はもう戻らない」

 

わかってはいても聞きたくなかった言葉です

ラジダニに言われてしまってはどんなに嫌でもこれが現実なんだと

きっとここも長良と同じ気持ちだったのかなと思います。

 

そこから始まる希との回想シーン、希との約束ですね

元の世界に戻っても記憶が残っているかわからない

希に至っては生きているかどうかすらわかりません

それでも希は戻ったら何がしたいかと前向きです

一方記憶が無くなってしまうかもしれない事、それにより島で過ごした事も無かった事になってしまう事を不安に思う長良

そんな長良に希は「じゃあ、こうしよう」と提案をします

 

「覚えていた方が約束しよう、もう一回友達になろうって」

 

作中で一番好きなシーンです

長良と希が過ごした日々の全てがここに詰まっているような気がします

今こうやって思い返しても胸に来るものがあります。

 

そして長良は現実を受け入れます

堰を切ったかのように泣き出す長良の姿には胸を締め付けられる思いでした

 

それでも長良は前を向きます、本当に強くなったと言うかかっこいいですよね

 

瑞穂と猫たちのお別れもとても良かったです

私自身過去に猫を飼っていたの事もあり別れの辛さも知っています

だからこそかも知れませんがサクラが車に乗ってからもロケットを眺める後ろ姿は色々と思う所がありました

11話は本当に素晴らしい回でした。

 

 

そして12話、いよいよ最終回です。

当時私が最終回に期待していた事はとにかくハッピーエンドで気持ちよく終わってくれる事、希が生きていて、長良や瑞穂と戻れた喜びを分かち合うようなそんなベタなものでも良いから明るく気持ちよく終わって欲しいと思っていました

ただ同時にそうはならないだろうとも思っていました

これまでのこの作品を考えればラストでそんなベタな終わらせ方をするとは到底思えません、何ならバッドエンドだってあり得るくらいです。

 

そんな思いで迎えた最終回

ハテノ島の鮮やかな晴天のイメージとは対照的な曇天で物語は始まります

高校生になった長良、加賀君はクラスメイトでしたね

中学校に寄るとやまびことこだまの姿もありました、BGMも良かったですね

これ何しに行ったのだろうと思ったのですが瑞穂の進学先を聞きに行ったんですかね?

 

その後瑞穂に会い行った長良ですがどうやら瑞穂は記憶が残ってない様子

とりあえず無事に戻れてはいるのだろうとは思った矢先の事です

理不尽なスマホ歩きの男性、バイト先の嫌な上司、嫌になる程の現実ですね

この時映ったバイト先の女の子がやけに意味深でしたね

 

そして帰路に就く長良

駅にはツバメの巣、そして希の姿がありました

漂流時と比べて少し髪が伸びていましたね

そして何かに気付き近寄って来る希、しかし向かった先は長良では無く後ろにいた朝風の元でした

恋人同士と言った雰囲気でしたね、まぁ駅で待ち合わせする仲ですからね

 

あぁもう、そんな・・・

 

脳が破壊されるとはこういう事か、と思いました

 

そして駅を後にし、家で一人半額弁当を食べる長良の姿

希どころか瑞穂ですら記憶が残っていない

いくらなんでも辛すぎます、でもまだ前半です、まだわかりません。

 

そして物語は遡り帰還前の宇宙へ

理屈はよくわかりませんがゴンドラを降りるとそこには朝風の姿が

当時はなんで居るのだろうと寂しくて止めに来たのかな?と思ってましたが

今思えば恐らく長良が事前に連絡していたんですね

ただその時の朝風はまるで変わってない、成長がない様に見えました

そんな朝風に長良はつばさからの手紙を渡します

その手紙には

「希は最後の一瞬まで朝風くんを信じていました」

そう記されています

その手紙を見た朝風から漂流世界の今の状況が語られます

クラスメイトもアキ先生もいなくなりハテノ島は沈んでしまった

そしてラジダニは森になった、それを聞いた瑞穂の嬉しそうな顔が印象的でした

結構なワードだと思いますが不思議とラジダニなら納得が行きます

 

「結局、俺には何も残らなかった」

朝風も全て受け入れたのだろうと感じました

そして「いけよ」と真っ直ぐに長良を見つめオリジナルのコンパスを長良に託します

 

個人的には「希は最後の一瞬まで朝風くんを信じていました」

この一文が朝風には一番響いたのだと思います

朝風って嫌いになれないんですよね

悪態をついていても暴言は吐いていてもどこか気持ちがわかると言うか

根っからの嫌な奴じゃないんですよね

わかっていても、上手く行かない、一番人間らしいようにも思えます

 

長良達を見送り一人佇む朝風の表情が少し悲しそうで朝風も出来ることなら

帰りたかったのかなと思うと切ないですね

 

長良達はコンパスの指す方角へ駆けて行きます

この空間の描写とBGMも凄い良いですよね

キャラクター達の作画も良く色使いや影の付け方もすごい良かったです

 

途中ヴォイスが登場し「それ(コンパス)をどうやって持ち帰るんだ?」のセリフの後に

先述したバイト先の女の子が一瞬映ります

これ本当に意味深で別の世界?片方のコンパスの希なのかなと謎でした

※この件も後の座談会で語られています

 

少し遅れた瑞穂の背中を後押しする朝風の助けもありつつ

長良達は目的地へ進みます

希は生きているかわからない、結末は変わらない

起こり得る事しか起こらない世界、そう理解した上で

「可能性を、もう一度振りなおす」

この時の長良は1話と比べると別人の様な表情でしたね

 

そしてようやく目的地へ到着した長良と瑞穂

瑞穂「長良はさ、なんで帰ろうと思ったの?」

長良「これは、希が見た光だから」

2人はコンパスに手を重ね合わせたところで物語は元の世界へ戻ります。

 

場所は斎場、瑞穂のおばあちゃんは亡くなってしまったようです

それだけでなくトラも亡くなり、ゲンとサクラも引き取られており瑞穂も元の世界では

大事なものを失ってしまっていました。

夜の中学校へも侵入し色々と確認してましたね

瑞穂は戻った事を後悔してもう一度漂流世界へ戻りたかった

だから記憶が無い振りをして長良を無視したのでしょうか

 

戻る事が出来ないと悟ったからか今度は瑞穂から長良へ会いに行きます

そこで瑞穂は長良へ対し「ここは、あんたが選んだ未来でしょ」

そう言いながら長良を励ますんです

瑞穂も凄いと言うか成長してますよね

ここは長良が望んだ世界、そしてその世界では瑞穂は大事なものを多く失っています

そんな中で相手を励ますという事は簡単に出来る事じゃないと思います

 

そして別れ際に瑞穂は長良にこんな言葉をかけます

「ま、大丈夫だよ、あの島でのあんたがまだ少しでも残ってるなら、大丈夫だ」

 

嬉しい言葉ですよね、見ている私としてもこの暗い雰囲気の中ラストに希望が持てる

そんな言葉でした。

 

場面は移りこの世界での希の日常が描かれます

11話の約束のシーンで希が語っていたグレイスのケーキを食べながらクラスメイトと

過ごす日常

ここからラストへ向かって流れるBGMもどこか寂しくて凄い良いですよね

恐らくあと少しで物語が終ってしまう喪失感や寂しさも相まっているのでしょう

ちなみにこのグレイスと言うお店は実在するらしいですね

ウォッチパーティでのトークで夏目監督が話をされていました。

 

時間も残り僅か、物語はいよいよクライマックスです

再び場面は移り、希と再会した駅へ

ツバメの鳴き声が聴こえない事に気が付いた長良

漂流前、鳥を見捨てたシーンと重なります

しかし今の長良は見捨てませんでした

厳しい現実に戻っても漂流を経験し成長した長良は確かに残っていた瞬間です

 

そこに再び希が現れます

「君も気になってたんだ」

希もツバメを気にしていたようです、こういったところは以前の希と同じですね

思えば再開後に会話をするのはここが初めてなんですね

「君、同じ中学だったよね」

この世界での希にとって長良は”ただのクラスメイト”だったと言う認識でしかない

長良はどんな気持ちだったのでしょうか

 

それでも、いや、だからこそあの時の約束を果たして欲しい

この瞬間多くの視聴者が同じ事を考えていたと思います

 

「希」

 

聞き覚えのある希を呼ぶ声

多くの人が絶望した瞬間では無いでしょうか

朝風、またお前か・・・

 

希は朝風の元へ駆け寄ります

楽しそうに朝風と談笑する希のその笑顔は漂流中に長良に見せていた笑顔とは

また違うもののように見えました

 

そんな二人の姿を見つめる長良

そして当時はそれどころでは無くて気が付かなったのですが

「飛べるようになるまで私が面倒みようかな」

この希の言葉と同時に長良の表情がかわるんですよね

息を飲む様な、驚きの様ななんとも言えない表情

ここで長良は希が希である事を確信したのでしょうか

 

そんな二人の姿を背にして長良は家路につきます

 

「人生はまだこれからだ、先はもう少しだけ長い」

 

絶望している私とは対照的に長良の表情は明るく、希望に満ち溢れたものでした

 

そして流れ出す少年少女弾き語りver、異様にスペシャルサンクスの多いエンドロール

それを茫然自失の表情で眺める私、物語は幕を閉じました。

 

 

正直に言うとかなり不満なラストでした

※あくまで初見時の感想です

 

決してバッドエンドではありません、長良の思いもわかります

望んだ終わり方じゃ無いから嫌だ、そんな話でもないのです

 

 

まずは希に関してです

ネットでは賛否両論、ネトラレと言う感想も多く見られました

正直私も同じような感覚でした

帰った世界で長良と結ばれて欲しかった、そういう訳でも無いのです

だからと言って朝風とくっつける必要があったのかなと思います

別に朝風が嫌いな訳ではありません、むしろ朝風自体は好きなキャラクターです

意図はなんとなくわかります、ですが当時の私にはその意図が悪意に近いものに

思えて仕方が無かったのです

でも結局の所本心は長良と希、別々ではなく2人一緒に幸せにしている姿が見たかったんです。

 

そして何より11話で交わした約束です

長良にとってもあの約束はとても大事なものだったと思います

駅で希と再会した長良にはあの時約束した言葉を伝える意思はあったとも思います

ですが朝風の登場によって約束は果たされませんでした

伝える意思があったであろうにも関わらず朝風を登場させる事によって

長良に”言わせない”状況を作った(作られた)ように見えてとてももどかしかったです。

 

そして現実を受け入れて満足気な表情で歩く長良

確かに長良にとっては希が生きていた、それだけで十分なのでしょう

でも本当にそれで良いのか?

希と交わした約束は仕方が無ければ果たさなくてもいい様なものなのか?

私にはそうは思えませんでした

長良にとって何が一番大事なのかはわかります

それでもここで物語が終わってしまっては漂流した世界での絆のようなものが無くなってしまう気がして仕方がありませんでした

だからこそ希に記憶が残っていなくともこの先の未来を想像できるような、少しの繋がりでも感じさせてくれる最後であって欲しかったと思うのです。

 

長くなりましたがこれが初見時の感想です

当時は正直観なければよかったと思うくらいでした

最後くらいベタでもお約束でも気持ちよく終わってくれたって良いだろうに、と

ただそれでも作品自体は嫌いにはなりませんでした

折り合いは付かずとも今感じてる事が全てじゃないとわかってはいたのだと思います。

 

なので私は少しだけ時間をおいてもう一度この作品を見返す事にしました。

 

ここまででかなり長くなってしまってのでそれはまた別で書こうと思います

備忘録として書き始めたとは言え書いていると読んでもらう事を意識して書くものですね

もし読んでくれる方が居たならこんな駄文で申し訳ありません

 

そして何より読んでくれて嬉しいです、ありがとうございます。